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ちょっと本を作っています

ちょっと本を作っています

原稿の書き方、本のまとめ方

死者の亡霊と闘う昨今の創作作家たち

小説や絵本の世界へ踏み出そうと考えている作家さんたちは無数にいます。

それが本になり、本屋さんの店頭に並べられます。

毎日300点を越える新刊の波。もちろん創作文芸以外の本も多数あります。

何万点、何十万点の本の中から、読者は本を選んで買っていきます。

確率は何万分の1、何十万分の1にしか過ぎません。

さらに新人には、大きな壁があります。知名度の無さです。

いわば大河ドラマの中の通行人程度にしか見てもらえないのです。

ですから売れる確率は、何百万分の1にしか過ぎません。


創作作家にとって最大のライバルは、過去に名を馳せ、評価の定まった作品です。

絵本でも、小説でも同じです。

母親は自分が小さかった頃に慣れ親しんだ絵本を買い与えます。

学校の先生も、名作と評価の定まった本の読書を薦めます。

これらの古典的名作と話題のベストセラーが、本屋さんの売上げの7割近くです。

さらに専門書やマニュアルブックなどを除くと、新規の創作文芸の占める比率は1割以下です。

新刊の洪水、それでなくても目に留めてもらえない創作文芸。さらに出版社の仕掛ける新刊。

そのような環境の中で、さてあなたは、どのようにして自分の本を売りますか?



原稿の書き方、本のまとめ方
今日の一言ヒント

(バックナンバー)



(その1)
あなた、誰に読んで欲しいのですか

これが、一番の基本だと思います。

読者対象を想定せずに、読者が共感してくれる文章は書けません。

自分に向けて発信されていると感じてこそ、読者も読む気になります。


あなたの文章、八方美人になっていませんか。

読者対象を広く想定してはダメだとは言いません。

ただ読者は浮気性な文章には付いていけません。


目線が自分へ向けられていると思うと、やはり気になるものです。

あなたのために書きましたと感じさせられる文章は説得力があります。

先ずは読者のイメージを思い浮かべることから始めましょう。



(その2)
ひらがなの海に漢字を浮かべるように

これも、私が常に繰り返し言っていることです。

パソコンのワープロソフトを使うと、いとも簡単に漢字変換が出来ます。

それこそ自分で書けない文字でさえ瞬時に打ち込めてしまいます。


意外とそのようなことの中に落とし穴が潜んでいます。

書いた本人は、ひらがなから漢字に変換するので難しいと思いません。

でも果たして読むほうはどうでしょうか。


漢字を頭の中で音読しながら理解しているのではないでしょうか。

この夏の教育委員会調査で、容易な漢字さえ誤読が多いと指摘されていました。

読者が間違った読み方をしても、声を出すわけではないので誰も気付きません。


それでなくても漢字の多い文章は難しく感じるものです。

ひらがなの海に漢字を浮かべれば、文節の中での力点を強調することも出来ます。

私は一度書いた文章を、後から漢字をひらがなに置き換えて仕上げています。



(その3)
どこまでセンテンスを短く出来るか

長い文章は、読みづらいだけでなく、何が言いたいかがあいまいになります。

文章は短く。さらに分割できる文章は二つ、あるいは三つの文章に分けます。

文章のブロックごとに改行をすれば、さらに読みやすくなります。



(その4)
説得するな。納得させよう

三段論法で説得されて感動する人はいないでしょう。

納得したようでも、何か割り切れなさが残るのではないでしょうか。

文章も同じです。

相手の興味を引き出し、それにからめて、こちらの主張を理解してもらう努力が必要です。


やはり納得させるには、相手を理解することから始めないとね。

読者対象を理解する必要性も、こんなところにあるのですよ。



(その5)
読者の知識を引き出し、その上に主張を乗せる

『38万円で本ができた』の中にも書きました。

特に実用書やビジネス書などでは特に大切なことです。

読者と共に考える姿勢が必要だとも言えます。


それぞれが持つ知識を最大限引き出し、その上で著者の提案を乗せる。

そのためには共通の関心事や時間や空間の共有が必要です。

みんなが何で悩んでいるのか。何を欲しているのか。


さらには、どのような状況に置かれているのかを想像しながら筆を進めます。

実用書ならば、読者がどの程度の予備知識を持っているか知ることも大切です。



(その6)
副詞・形容詞は最小限に

日常会話では、副詞や形容詞で気持ちを強調することが多々あります。

また、日常生活の延長であるブログでも感嘆符などが多く見かけられます。

しかし、本の原稿の場合に注意すべきは、この副詞や形容詞、感嘆符なのです。


本では「行間を読む」と言われます。

読者は行間の空白に、さまざまなことを連想しつつ読み進めます。

そして驚き、共感し、感銘を受けます。


名著とは、幾度読んでも、新たな発見や驚きがある本のことではないでしょうか。

副詞や形容詞は、ともすると読者に結論だけを押し付けることになります。

「ここで驚いてください」「ここではもっと喜んでください」

副詞や形容詞の多用は、読者への強要につながります。


読者自らの気分感情で、文章とその行間から様々なことを感じ取ってもらいましょう。

書くのは著者ですが、読むのは読者という、自分の人生を背負った、独立した人格です。



(その7)
最初は、箇条書きとキーワード

今では、ほとんどの人がパソコンを使って原稿を書くようになりました。

以前、まだペンで原稿を書いている時に気付いたのが、箇条書きとキーワードです。

私が付き合ってもらっていたほとんどの著者が執筆ノートを作っていました。


原稿を纏めようと、最初から順番に原稿を書き進めて行く著者には出会っていません。

本にする原稿を纏められる人と出来ない人の違いがここにあるように思います。

一冊の本の原稿量は大変な量です。頭の中で全部を鳥瞰して書ける人は天才です。

途切れ途切れでも、閃いた言葉や気付いたことを書き溜める習慣が必要に思います。


実は小説でも同じです。

私の好きな宮部みゆきさんなども、最初は短編です。

彼女の長編小説で、これはあの短編とこの短編を纏めた部分だって気付くことが多々あります。

小説の基本も、短編小説を次々と書き溜めておくことが出発点のように思います。


今はパソコンという文明の利器があります。

次々と箇条書きやキーワードのストックを作ってみませんか。

パソコンなら、後で置き換えたり、加筆したり、変更を加えることも容易です。



(その8)
お客様を、もてなす気持ちも大切です

読者ってお客様なのです。

本を買ってくれるお客様、本を読んでくれるお客様、呼びかけに応えてくれるお客様です。

著者はある意味、ホスト役でもあります。


ホストの基本は、お客様のことを理解し、要望を実現することです。

本の世界では、お客様の顔が見えません。

不特定多数(私の主張では「特定多数」ですが)のまだ見ぬお客様が相手です。


纏めようと思う原稿の読者を思いやってこそ、文章の在り様が決まってきます。

書くべき原稿の展開や文章構成を考える前提に、読者像があります。

「相手を見て法を説く」の教えと同じですね。



(その9)
言葉は半分しか伝わらない

自分の書いた文章の100%が、伝わったと思うところから新たな誤解が生まれます。

人はそれぞれ、自分の興味があること、理解できることを先ず読み取ります。

文章から、著者の気持ちや主張を理解する努力は、その次なのです。


自分の予備知識や趣向に照らし合わせて、著者の主張へと徐々に興味を覚えていきます。

だからこそ丁寧に、分かりやすく、なおかつ無駄を避けて書くべきではないでしょうか。

私は、言葉ってなかなか真意が伝わらないものだという前提で、文章を書いています。



(その10)
言葉のリズムを感じていますか

言葉は、一つの音楽です。音楽の原点と言っていいかも知れません。

言の葉には、さまざまな意味が含まれます。

気分感情さえも盛り込まれています。

単にその文字の意味だけでなく、文字が連なった時の流れを含めて表現の要素です。


バイブル、コーラン、経典。全てが韻を踏んで作られています。

読み方も抑揚を付けてリズミカルです。

コーランは別の言語に翻訳することさえ固く禁じられているそうです。


一度書いた文章を読み直し、加筆訂正する場合の一つの着眼点がリズムにあります。

韻は、自分で読みやすいように手を入れていくと、自然と付いて来るから不思議です。

リズミカルな文章は、人の心へまで共鳴の波紋を広げて行くでしょう。



(その11)
本棚からレジまでの距離を埋められる本ですか

私の口癖にもなっています。

いつも自問自答しながら本作りをしています。


確かに、カバーデザインなど、目立つデザインにすると手には取ってもらえます。

問題はその後です。買ってもらえるかどうかです。

パラパラとめくって、もう一度本棚に戻されることがほとんどです。


何が欠けているのか? 本棚からレジまでの距離を埋めるだけのインパクトです。

レジまでの距離を埋め、読者に購買を促すだけの動機付けをしなければなりません。

カバー周りのコピー文が大切なのは言うまでないですが、それだけでは不足です。


全てにおいて水際立っていないと、数万冊の本の中から選んでもらえません。

一言一句、ページの隅々、「はじめに」や「あとがき」や章や項の見出しまで。

数万冊の中から選んでもらい、さらにレジまで持って行って、財布を開けてもらう。


本を買ってもらうことが如何に大変なことなのか。

真摯に受け止める必要があります。

全てにおいて、常にベストを求められています。



(その12)
起承転結を考えてみよう

名作と言われる本に共通しているのが、起承転結の展開です。

小説でも、実用書でも、ビジネス書でも、起承転結の展開が多く見受けられます。

本や文章の基本中の基本とも言えるかも知れません。


前に「読者の知識を引き出し、その上に主張を乗せる」と書きました。

実は「起」は読者の知識を引き出すことです。「承」はその発展です。

「転」で論理の飛躍を行い、「結」で自らの主張へと方向付けます。


「起」「承」で文章に対する安心感を与え、「転」「結」で意外性を与えます。

私もさまざまな文章を書いてきました。

読み返すと、ほとんどの展開が「起承転結」になっていました。

文章って、知らず知らずのうちに、読者に共感される方法を採用するのでしょう。



(その13)
自分が感動せずに、誰を感動させようと思うのですか

身の回りのこと全てについてです。時には自分自身に対しても。

合わせて、ものごとを客観的に見る冷静さも必要です。

感動する心と思い巡らす頭脳が一体となったとき、珠玉の言葉が生まれます。


文章も音楽や絵画なども、自らの感動を他の人へ伝えるための方法ではないでしょうか。

感動し、それを表現することの繰り返しが、文章力も鍛えていきます。



(その14)
小見出しには、さりげなく結論を

小項目の区切りを付け、合わせてその小項目のテーマを明らかにするのが小見出しです。

読み取ってもらいたい中身の要約であり、興味を引き出すキャッチコピーでもあります。

一般書やビジネス書の小見出しは、多ければ多いほうがいいというのが私の見解です。


そのほうが、その都度、読者にテーマを明示して文章の方向性を明らかに出来ます。

道路標識の多い街並みは、初めて訪れた場所でも、安心して歩けるようなものです。



(その15)
タイトルとサブタイトルにキーワードを入れる

インターネット書店で本を買う人が増えた、IT時代における一つの課題です。

ネット書店で本を探すために、多くの人はキーワードによる検索機能を使います。

問題は検索機能が、それぞれの本のどの部分の用語までを検索するかです。


アマゾンや楽天ブックスなど、ネット書店によって検索範囲が異なります。

さすがに書名と著者名だけってところは少なくなりました。

それでもまだまだ、書名と著者名とサブタイトル程度のところも多いのです。


私の「38万円で本ができた」って本を例にとります。

アマゾンで、「自費出版」の用語で検索すると発売以来一年近く、常に一位です。

ところが、楽天ブックスでは、同じ「自費出版」で検索しても出てきません。


これは「目次」や「はじめに」まで検索が及んでいるかどうかの違いです。

せめて書名やサブタイトルに検索してもらいたいキーワードを入れておきましょう。

著名人以外の小説がネット書店で売りづらい理由の一つも、この検索にあります。



(その16)
原稿にも熟成させる時間が必要です

一度書いた文章も、後から見直してみるといろいろと気が付くものです。

表現方法や話の展開など、執筆時は違和感のなかった文章も、ちぐはぐだったり。

一呼吸おいて読み返すときは、少しは読者の立場で客観的に読むのでしょう。


私は頼まれ原稿のときは、少なくとも一週間ぐらい前に執筆を終えます。

そして、そのまま放っておくのです。

一旦は、その原稿の存在すら忘れます。


締め切りの2日前ぐらいに、もう一度読み返します。

そして手を入れます。

執筆時の思い入れや熱情も大切ですが、本にする原稿は客観的な視点が必要です。


誰もが理解できる文章にするには、論理の明快さも求められます。

読者は常に第三者。

それを考えると、書いた文章を寝かせておく時間も大切です。



(その17)
すらすら書く方法は、話すように書くことしかない

執筆が進まないって人には「文章って対話なんですよ」と言いつづけています。

対話の相手、読者対象を絞り込むってことは、書くことも整理してくれます。

箇条書きなど、目次の小項目の整理を勧めるのも、対話の一つの方法です。


会話が苦手だという人だって、必要な会話は、日常的にやっているはずです。

同時に、どのように話せば相手が理解してくれるかも日々経験しているはずです。

話すように書くことの繰り返し以外に、文章に習熟する方法はありません。



(その18)
特定多数を相手にするのが本作りの基本

不特定多数ではありません。あくまで限定された“特定”の読者層です。

合わせて、読者がさまざまな人生経験を経た“多数”の人たちであることも念頭におくべきです。

ですから私は、読者層を絞り込みながら、幾人かの複数の人たちを思い浮かべて原稿を書きます。


力点を置くべきところでは、一人ひとりを思い浮かべながら、幾つもの表現をします。

読んでもらいたい話は、表現を変えて繰り返すことにより、読者に印象づけることも出来ます。

より多くの人に理解してもらうことと、力点の強調です。


幾つもの表現方法や、例え話をストックしておくことが、中身の濃い本作りに欠かせません。



(その19)
実用書や一般書にも会話形式を取り入れよう

小説やシナリオには、会話形式が多用されます。

会話形式は、あらすじを連想させ、情景をイメージしてもらうのに最適です。

実用書、ビジネス書にも会話形式の長所を取り入れてはいかがでしょうか。


「でも、実用書やビジネス書は、ムダを省いた文章の流れが必要でしょ?」

「そうですね。あまり使いすぎるのはどうかと思うんですけどね」

「どんなときに使うのがいいのかなー?」

「各章のイントロ部分に架空の会話形式を取り入れてはどうですか」

「どんな風に?」

「その章で何が言いたいかを、さりげなくQ&A方式で紹介するのです」

「いいかも知れないですね。本題への話の導入に使えますね」

「それにね、人それぞれ、話し方って、その人の個性が出てきますよね」

「そうですね、著者へ親しみを持ってもらうにもいいかも知れない」



(その20)
ブログの文章と本にする文章は、似て非なるもの

ディスプレイで見るブログの文章と、本になった文章の違いがあります。

私のブログの文章は、ほぼ3行で一つの項目を言い終えるように工夫しています。

パソコンのディスプレイでは、それが限界のようにも思うのです。


本のほうは、ほぼ1ページ、あるいは見開き2ページぐらいまで、一項目で使用可能です。

もちろんテンポ良く、3行程度で次々と話を展開して行ってもいいでしょう。

パソコンのディスプレイに比べると、はるかに読みやすいのが特長です。


ブログの場合は、一つひとつの単語をいかに効率的に、さらに印象付けて使うかが重要です。

でないと、どの行を読んでいるかが分かりづらいので、読みにくい印象を与えます。

私のブログは、ほぼ3行ごとに空白の欄を入れて区切りを付けています。


逆に本の場合は、論理に飛躍や欠落があると、内容への不信感を読者に与えてしまいます。

筋道だった文章構成に留意することが大切です。

本の場合の区切りは、小見出しで処理すれば読みやすくなります。


同じ文章でもブログと本で、その特徴を念頭に、微妙に違えて書くことも必要ではないでしょうか。



(その21)
内容によって、縦書きと横書きを使い分けてみては

学術書やビジネス書など、論理性を重要視する本の場合は横書きのほうが向いています。

人の視界って不思議なもので、横書きの本の場合は前段の内容が視界に残ります。

前の段に書かれたことを重視しながら読み進むことになります。


文芸書やエッセイなど、情感を重視する本の場合は縦書きのほうがいいように思います。

縦書きのほうは、その行の文章に集中出来るようです。

その行の情景描写を中心に、行間の趣を読み取る人が多いようです。



(その22)
もっと貪欲になってもいいんじゃないかな

もう30年近く前の話です。亡くなられた方の話です。

東京會舘ってところで小さな会合を行いました。

お出で頂いたのはゼネコントップお二方と奥さんたち。

そして私の5人です。


「ごめんなさい、編集長さん。誰も来ないか見てて」

財界人のお二人と、お一方の奥さんが席を外した瞬間に、残った奥さんが囁きました。

そして、やおらお皿を舐め始めたのです。


「やっぱり最高! このソース、凄いですね。最高です」

お皿を舐め終わった、その奥さんの一言です。

私は呆然と見ていました。

その奥さんも皇室につながる方で、ご実家もとんでもない資産家です。


「私ね。今日みたいなお料理に出会うと、生まれてきて良かったって感謝するのよ」

既に60歳を過ぎておられた方ですが、振り返った笑顔は、まさに天真爛漫そのものでした。

私は料理よりも、素晴らしい人に出会えたって、感動です。


これだけ素直になれる人なら、何をやっても超一流だと訳もなく感動しました。

10年ちょっと前に、亡くなられたことを新聞で知りました。

自分の気持ちに純になる努力も、読んでもらう文章を書くには必要だと思います。



(その23)
『企画出版』って言葉を『商業出版』と置き換えよう

『企画出版』って言葉は、共同出版業者の造語です。

「いい企画なら業者側経費で作りますよ」と思わせるための造語です。

『企画出版』で釣って、いわゆる『共同出版』に持ち込むのが業者の常とう手段です。


もともと、出版業は商業行為です。売れてなんぼの世界です。

売れる企画を追いかけない出版社なんて存在しません。

いい企画、いい原稿、売れる企画は、どの出版社だって追いかけています。


問題は、どの程度売れる企画なのかという可能性です。

また、どのようにしてリスクを回避するかの判断です。

出版社は一般的に、先ず売れるテーマかどうかを考えます。


そして、商業出版として成り立つための三拍子が必要です。

著者の知名度、文章の完成度、そのテーマへの読者ニーズの存在です。

だからテーマが決まれば、著名人の名前を使い、ゴーストライターに書かせます。


アイディアを持ち込んでも、アイディアだけ頂いてサヨウナラが現実です。

だって、あなたは著名人ですか? あなたの文章力は飛び抜けていますか?

腕のいいライターなんて掃いて捨てるほどいます。そこそこの知名度の人もね。


売れるテーマで、あなた以外に書けない内容で、あなたの名前でないと売れない。

常に商品として最高の組合せを求めるのは、出版物でなくても同じです。

先ずは『企画出版』という言葉を『商業出版』と置き換えて考えてみましょう。



(その24)
100人の読者、1,000人の読者、3千人の読者

ある日突然、ベストセラー作家になった人は皆無です。

知名度がないことは、本の世界では大変な足かせなのです。

本の世界でなくても、何らかの実績の積み上げがベースになっています。


本は、読者にお金を出して買ってもらわないと読んでもらえません。

口コミで広がるにしても、最初にお金を出して買ってくれた読者がいます。

芸能界と同じで、徐々に自分のファンを増やしていく作業が欠かせません。


ビジネス書などでは、最低3,000冊ぐらい売れないと商売ベースに乗りません。

それも出版には先行投資が必要です。資金回収までの期間も問題です。

遅くとも一年以内に初版分を売り切ろうと、どの出版社も考えます。


最初から大向うを唸らせることを考えるのではなく、着実な読者の獲得が必要です。

最初に、先ずは100人の読者を得ることが出来れば、次は1,000人です。

100冊ならば持出しでも、1,000冊でトントン、3,000冊で商業ベースです。



(その25)
表現を変えて、繰り返そう

書き手の真意や伝えたいことは、なかなか読者に伝わりません。

だからこそ、小見出しにキーワードを入れて読者の注意を喚起します。

読者が興味を持ちそうな例え話を入れ、興味を引き付ける方法もあります。


でも、それだけ努力しても、まだまだ不十分です。

読者は、自分の興味の範囲でしか熟読はしてくれません。

一字一句、頭に刻み付けながら読んでくれる読者は、担当編集者ぐらいです。


表現を変え、例えを変えながら、幾度も繰り返すこと。

本当に伝えたい事柄を強調したいならば、この方法しかないと思います。

愛のささやきだって、繰り返さないと伝わらないでしょう?



(その26)
最初の3行

パソコンのディスプレイでも、印刷物の本でも、一瞬にして読めるのは、ほぼ3行程度です。

ですから、読んでもらいたいブログの文章は、3行ですべてを言い切ることです。

本の原稿では、そこまで必要ないにしても、最初の3行で読者を引き付けることが求められます。

と、3行でまとめてみました



(その27)
あなたの言葉。心にまで届きますか?

自分の言葉のリズムに酔っている人を見かけます。

文章だけでなく、もちろん日常会話においても同じです。

井戸端会議、思い出話など、相手の反応を無視した一方的な話が多いですね。


言葉を相手の耳へは届けても、心にまで届けるって本当に難しい。

相手を理解して、共鳴してもらえる言葉を探る努力も必要なのでしょう。

読者の反応を思い描きながら、言葉を選んでみるといいでしょう。



(その28)
誰だって最初は初心者

誰もが、小学生の頃から作文を書いたり、手紙を書きます。

だから大人で、文章を書くことが丸っきりの初心者はいないでしょう。

本を書こうと思った時、意外とこんなところに落とし穴が潜んでいます。


作文や手紙も本質的には本の原稿と同じです。読んでもらう相手がいます。

ただそれが、作文や手紙では、意識できる相手、特定できる相手です。

でも、本にするということは、まだ見ぬ多数の人が対象です。


備忘録のような私家本なら考える必要がないかも知れません。

あなたがイメージする出版は多数の読者を想定していませんか。

出版社が費用を負担しようと、個人が費用を負担しようと同じです。


まだ見ぬ多数を相手にするには、それなりの配慮や文章力が求められます。

振り返ってもくれない人を、振り返らせなければならないのです。

時には誇張も、ショックを与えて驚かすことも必要になってきます。


その方法は、簡単です。あなたが本の執筆をより多く経験することです。

芸術やスポーツと同じです。いくら頭で考えていても成長しません。

先ず一冊目の本を出してみること。そこから学ぶことは多いと思います。



(その29)
ただひたすら歩くことが物書きの基本

作家さんたちが散歩を好むのには意味があります。

いろいろなものを見て回れってことだけじゃありません。

作家さんたちは、長年の経験で、歩くことが執筆に必要だと体感しています。


文章を書くって、ともすれば頭がフル回転してオーバーヒートします。

頭と体がバランスよく疲れていかないと、頭が空転を始めます。

文章にはリズムが必要だと書きましたが、リズムは体が刻むものです。


文章を書くには、時には音楽も、風のそよぎも必要です。騒音さえも。

体が感じてこそ、言の葉も紡ぎ出されるのではないでしょうか。

歩くことはその基本です。靴底に地球を感じて、大空に宇宙を感じます。


野の花に命を感じ、川の流れに永遠の時を感じます。

照りつける夏の日射しや頬を切るような冬の冷気は、感性を研ぎ澄まします。

空調の効いたホテルの一室で次々と文章を書けるなら、作家稼業もいいのですが……。


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